アルファロメオ155の困った整備

タイミングベルト交換作業中の155。先にも話しましたがエアコンのコンプレッサーのテンショナーに問題が見つかり
手当をすることになりました

ダストシールが外れて、ボールが丸見えのベアリング。水やゴミ、砂などを巻き込みとても短命に終わるでしょう
テンショナーを取り外してみると、アイドラーを止めている取り付けボルトはかじってしまっておかしな回り方をします

そもそも155あたり、新しい物でも27-28年近く経っています。ここ最近急激に部品も出回らなくなって、整備は細い糸の上を歩くように、薄氷を踏む思いで分解作業を行います。特にホース類はもはやゴムだという事を忘れ、麩菓子のような強度になっていたり、劣化が進みやすいブローバイなどのホース周りを脱着する時にバリっと殺めてしまうと、部品が手に入らずとんでもないことになり兼ねません。本当に大変なのです。

近年、155をはじめ、145やランチアなどを断る整備工場が多くなったように思いますが理由はここです。
何かトラブルがあったり、故障して預かっても部品がなくて何週間も探して回ったり、あちこちに相談したりで、クルマ1台が占有する時間と場所を考えて、作業を嫌がる傾向があるようです。

それは僕らも痛いほどわかります。原因がわかっても部品が手に入らなければ直すことはできませんから….


分解できました

なんだかボルト穴が歪です。よく見ると

ボルト山が途中までしかありません。ドリルでもんだのだと思います。
ここのボルトは7mmなので、8mmの1.25なりのタップを立てようと思ったのでしょうか
ドリルでもんでいたらあまりの硬さに諦めたんでしょう。ひえ~っつ、どうしましょ

おまけに何か削った跡もあります

既にボルトは完全に締めることができなくなりました。もう元に戻すことはできません。どうするどうする? Goする?

稲荷くんが懇意にしている機械加工屋さんの市川さんにお願いして直すことに

大きく穴を掘って、そこにカラーでナット部分を作ります。ちなみにこのステーの後ろ側には緩み止めのナットも付きます

ザグリ加工

カラーを作ります。木の棒みたいに見えるのはモリブデン鋼

旋盤美しいなあ。いかにもな感じ。もちろんこれを使う人の技術なくして加工機械は真価を発揮できないのです

出来上がりました

さらに最後に一部を溶接して出来上がり

旧い自動車はこういった人たちに支えられて維持できるのですね

現場に戻ります

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