155のオーバーヒート

エアコンのベルトテンショナーも修理してタイミングベルト交換は最終局面

ボルトも新調。火入れの硬度が同じなのは規格によるものです

これを全部組んでOKですがその前にタイミングベルトを正確に張ります

さらにこれらドライブベルトを戻して出来上がり

この155の面白いところは、クランクプーリーでエアコンのコンプレッサーを回して、コンプレッサーのプーリーでパワステポンプを回すという面白いレイアウト

出来上がった166はシステム内のエアを抜くために、エアコンを最高温度にしてアイドリングさせます
すると長くアイドリングさせていると、やがてどうも具合が悪い。
どうもオーバーヒートしている様子

キャップを開けるとこのような画に。グツグツ大暴れ。
さてなんで? よくよく見ているとちゃんと冷却ファンが回っていないことに気が付きました。
おそらくは今まではオーバークールでどうにか出来ていたようですが、今回サーモを交換したので手加減なしになってしまったようです。
モーターのブラシを疑いましたが、まずは配線図を確認。

配線図を見ながら、一つ一つ点検します。

電動ファンの動きを操るのは、まずこのリレーからスタート

L1のファンリレー、基本的にマイナスコントロールなのが分かります。
しかし155のサービスマニュアル、紙ベースの物をコピーして、下手すればコピーのコピーだったりするのか、文字が潰れてひどく見にくいのです。

エンジンキーをONにしてL33のサーモスイッチが温度が上がってL1のファンリレーを通電させるとQ42のディレイリレーにマイナスが通り、Q42はQ14のパワーサプライリレーに10秒間電圧がかかる仕組みです。それによりP2の電動ファンは回転するのです。
と言うことはL1のファンリレーのマイナスを直結させればファンは回るはずで、その際にファンレジスター、電装ファンともに電圧を測れば何が悪いか検討が付くはずです。

一見フツーのリレーですが

このディレイリレーを見るとコイルとパワートンジスタ、100㎌のコンデンサーとなっており、10秒間電流を流し、再びチャージし、必要な時を待つ仕組みのようです。
こちらは単体で電気を流すと正常に10秒間ほどファンを回したので正常でした。
マイナスを直結してリレーを強制的に動かしましたが、ファンが回りません。
ファンの手元も12Vが来ていません。

と、なると配線が怪しいのです
これには実はトリックがありまして

隣接するすぐそばに全く同じ形状のカプラーがあるのです。
片方はコンプレッサーのクラッチのマイナスだかプラスだか、もう一つはたしかサーモスイッチです。
(書いている今は配線図が無いので失念してしまいました)
これを入れ替えてしまうとファンが回らず、オーバーヒートするのです。
今回もこれが原因でした。おそらく以前の持ち主は謎のオーバーヒートで悩んでいたかもしれません

以前、このからくりがわからず、エンジン下した際にわからず難儀したことがあります。
その時はロジックを理解せずに、入れ替えたら動いた的な感じでしたが、あえて配線図を読むとなるほどとうなずいてしまうのです。

ちなみに、こちらはサーモスイッチL33 3極なのは配線図を見ればわかりますが、水温が上がり過ぎた時に電動ファンの2段回目、正確に言えばバッテリー直で回すトップスピード用の信号線です。1段階目、つまり最初のマイナス制御のリレーL1を動かした段階ではQ14サプライリレーの一段階目、レジスター付きの回路に行くのです

ちなみにこちらはエアコンのプレッシャースイッチ

1極のコネクターはこれの線だったかな?書いている時点で配線図が手元になくて思い出せません。

今回の主人公の電動ファンとファンレジスター。

わりとしっかりしている配線ですが、電動ファンの配線は日本の夏をなめている配線の太さです。
並行輸入車は仕向け地によってこの辺りの配線の太さが変わるので、焼けたり故障したりするのです。

尤も、166の出たばかりのモデルは日本の夏をおナメになられていて、電動ファンのリレーがホルダーごとごっそり溶けてしまうのですが

こうして無事に納車となりました。

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155のオーバーヒート”へ2件のコメント

  1. GH-937AB より:

    ここ数日のSSI記事おもしろかったです。

    部品ありきで造られるヨーロッパ車のほうが、車種間の共通部品や社外部品の存在ゆえに供給がよさそうに思いますが、残念です…。

    本国のイタリーでも、いまはコンパクトカーまでドイツ車比率が多いみたいですね。

    ドイツ車は部品供給がよいのでしょうか?

    1. mpi-bp より:

      ありがとうございます。結局専用部品ばかりの日本車は、車両の生産中止から時間が経つと完全に部品が断たれるので、本当に再生が難しくなるのですが
      ドイツのクルマはアメリカに輸出されるケースが多く、それらは部品に困まることはないですねえ。
      でも今は少量ロットで部品を作ってくれたり、メーカーがリプロしたり時代と言うか文化が成熟しました
      C6でお世話になったRSウーノのタペットカバーP/Kなんかは秀逸の一言に尽きます。
      155もうまく社外品が機能すると良いのですが

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