警告灯まつりCoda

一大祭りを展開中のテージス。前回はステアリングアングルセンサーが入るコンビネーションスイッチを交換してキャリブレーションしましたが
結果上手く行きませんでした。しかしこの失敗は大事な事を教えてくれます。
1度はキャリブレーションに成功するのですが、少し動かしたりするとキャリブレーションが実施できていないとクルマが訴えます。

少し話が逸れますが、このテージスの頃からCANデータ通信が用いられて、制御がそれまでより高度になっています。
大まかに言うと、CAN信号はそれぞれ目的のノードに仕事を出しに行ったり、信号を持って帰ったり、システムが正常かどうか信号を持つことで健全性を測ったりといろいろな仕事をします。その仕事には優先権があって、先に仕事をしないといけない重要な信号と、少々時間がかかってもそれほど重要ではない信号といろいろあります。場合によっては優先度の高い仕事を処理している時に、後から、あるいはそれほど優先度の高くない信号が来たらあえて無視する場合すらあります。

CAN信号は、ドライバーが何かしら操作をすると、元のノードから信号を持たされて、目的のノードの住所に行くと符号を合わせて、その符号が合えば操作の内容を伝えます。
その目的の操作を終えると、やってきたCAN信号に終了信号を託して帰らせます。
送り元のノードはその終了信号を受け取ったことで初めて、一連の操作が終わったとなるのです。

一方、今回のテージスはTRW製のABS/ESCのユニットが取り付けてあって、ABSは電気的にブレーキのポンプをコントロールして制動距離を短くさせるデバイスで、ESC=エレクトリックスタビリティコントロールは、自動車がアンダーやオーバーステアを殺して前を向くようにする横滑り防止装置です。
ESCやABSは自動車の挙動を知るために、ハンドルがどこを向いているのか知る必要があります。
そこで、ステアリングアングルセンサーが取り付けてあるのです

ステアリングアングルセンサーはそのものだけではどこが起点(まっすぐ)か解らないので、キャリブレーションする必要があるのですが、その情報は誰が知りたいのか?もちろんそれはABS/ESCなわけです。

今回ステアリングアングルセンサーのキャリブレーションができないというから、アングルセンサーを交換したのに、なぜかキャリブレーションができていませんとくり返します。と言う事は、ABSユニットが通信不良を起こしているのです。
それは、配線図からABSのとてつもなくいっぱいある配線のどの配線がステアリングから来ているかはわかります。
しかし、問題はそのABSの巨大なコネクターから先なのです。

ABSのオーバーホール業者に修理可能か聞いてみると、このTRWのABSユニットは、例のゼリーの中に基盤が埋め込んであるタイプで修理できないと言われまして、TRWによくある故障でもあると聞きました。
この辺りで今回の祭りの実行委員会が見えてきました。

ABSは実はいろいろなコントロールモジュールと通信をしています。何しろ車速を司っているのですから
エンジンECUはもちろん、AT、エアバッグ、サスペンションなどなど
でもこの通信網を上手く構築できなくなったらどうなるでしょう? CAN信号が来るのを待つ他のノードが来ないよ~と警告灯を点けます
何しろお使いに出したCANがかえって来なかったり、何も持たずに帰ってくるのですから

寒い冬が終わって本格的な春の訪れを感じさせる花が咲いた5月の中頃、中古のABSユニットがやってきました

もちろんこんなの日本にありません。海外から取り寄せました。

役目を終えたであろうABSユニットに交代を告げます

さて作業が終わったら診断機を取り付けて見てみましょう

はいはい、お祭りの最中ですね

診断機にもそのように出てきますよ

でもね、ホントに重要なのはこのC1103の文言です。

これは本来のコンフィグレーションに全く違うコンフィグレーションが存在してシステムが困っている状態なのです。
ここで、いわゆるプロキシライティングをして、このコンフィグレーションが自分の物にする同期を行うのです

そうこれ。先のCANの話で言うと新しくやってきた部品に、このクルマの住所を書き込む作業なのです。

プロキシライティングが正常に終わると

どうですか。ついに祭りは終わったのです。祭りの面々は雲散霧消
実行委員会は解散となりました。

警告灯祭りが終わって、なんだか来た時より具合悪そうに見えなくなったテージス(笑)

でもまだ警告灯の残党などを端からとっちめます。次回に続く

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