Tabidachi no hi

日本では80年代に多くタイミングベルトが導入されました。それまでのタイミングチェーンはうるささやメンテナンスのし難さなどを理由に廃れました
しかし、タイミングベルトは切れる恐れがある、切れると言ってもぶっちり切れるケースよりもコマを飛ばすケースが多いのですが
10万キロごとの交換を目安にしていましたが、コマを飛ばしたり切れたりすると、ピストンとバルブが衝突するバルブクラッシュが起こり、シリンダーヘッドオーバーホールの憂き目に遭うクルマが多くありました。
やがて、時と共にトヨタの1J、2Jエンジンのように基本的にタイミングベルトが切れても、単にタイミングがずれてエンジンが動かなくなるだけになりました。

一方欧州車は、90年代に入っても2000年代に入っても相変わらず、タイミングベルトにもしもの事があればどえらい事になる文化は全く変わりませんで
アルファロメオも例に漏れずそうですし、先のカングーも自ら証明したようにバルブは何かあれば簡単に曲がってしまうのです

しかも国産車のような強靭性はあまりなく、10万キロを走らせるに無交換など到底そんな賭けをできるはずもなく
楽しく乗るためには、定期的な交換が必要になるのでした

ちなみにヨーロッパでは5万キロで替える人は少ないようですが…

エアコン、ヒーターのOHが終わったので、タイベル関係です

日本のタイミングベルト交換作業と大きく違う欧州車の交換作業の特徴は何と言っても、カムを固定しバルブタイミングを合わせる事です

こうすることにより、正確に1番の上死点でクランクを止められれば、間違いなくバルブタイミングはぴったり合います
しかし、反面、車種ごとの専用工具が必要になり、だれでもできるとは限らなくなります。
日本の自動車のタイミングベルト交換では、スプロケットとカム、あるいはクランクプーリーとクランクシャフトに、それぞれがぴったりかみ合うキー溝が掘ってあり、凸と凹がかみ合い、絶対にずれる事はありません。あとはベルトにあるマークと、スプロケットにあるマークを合わせてベルトを張れば出来上がる仕組みです。
ただし、こちらは位置の間違いがあっても張れてしまうので、組み間違えるリスクがあります。

アルファロメオのカムにもキー溝はあるのですが、スプロケットはつるんとしています。

テンショナーとアイドラーベアリングの間に見えるのがウオーターポンプで、アッパーハウジングのボルトが手前2本抜けています。
後側2本のボルトは、タイミングベルトケースの陰になり抜くことができません。
もちろん、簡単にポンプが外れてくれるなら、そのまま手前に引き抜いても構わないのですが、そう簡単にはポンプは外れてくれないのですよ

そこでスプロケットを抜いて、カバーを外してやることで、ウオーターポンプの仕事がしやすくなるのですが、この奥のバンクのスプロケットも手品のようなクリアランスで外します

もうベルトはさようなら

ちなみに、既にオルタネーターは限界を迎えていて、先に外してあります

もう、タペットカバーからやってきたオイル漏れがオルタネーターに入り込みレギュレーターがやられてしまう仕組みです

さて、作業はおヴォン休みを挟んでしばし、停止し、おヴォン明けにはエンジンを降ろした155の作業などを経て10日ほど開けて再開します

作業はウオーターポンプから
うすっぺらなガスケットがはらりと落ちないようにのりで止めてから取り付けます

黒い輪っかのようなものは、このポンプとサーモスタットを結ぶパイプのOリングです。外したらパリパリと脆く切れてしまいました。
MPIではこういったOリングは国内生産のBNR製Oリングを使っています。

ウオーターポンプの取り付け場所は清掃され取り付けを待っている状態

このクルマ、とにかく作業点数が多い。個人的にはこんな作業を安さを競う程危険な事はないと思います。
どこかOリングから冷却水が漏れても、タイミングベルトは交換しましたがOリングを交換しろとは聞いていませんぜ、と言われてもおかしくありません

上から見たタイミングベルトやスプロケットの無い絵面

古いポンプと言えば

完全に役目を終えています

このクラックによりシャフトから水車が分離してしまい、水を回せなくなってオーバーヒートしてしまうのです
ウオーターポンプが起因するオーバーヒートは強烈で、何をしても水温は下がらない上にあっという間に沸点に達します。

タイミングベルト関係は完全に終わったのでフタを閉めます

次回に続く~

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