Days of failure and decay.
世の中のブログではめったに失敗を書くことは無く、だいたい作業前と完成後と都合の良い事ばかり書くのが常です
しかし今回、塗装の現場はかくも上手く行かないかと言う例を書きます
この日はあいにく天気が悪く、それほど気温は高くない1日で、ブースの温度計は25℃くらいを指していました。
本格的な真夏を前に少し乾燥速度の速い硬化剤をつかってしまいたく、少し気温がオーバー気味でも大丈夫だろうとタカをくくってこの内容で作業にあたりました
バンパーとの色差をわかりにくくするためにぼかし塗装を入れます。
なので塗装しているのはフードの前半分以下です。
そして問題のクリアーです
乾燥後に問題が発生しました
キモチ悪いですが、ソルベントホッピングです。
2度クリアーを塗る、1.5コート呼ばれる塗装方法で、1度目はクリアーをそれほど載せないで、2度目のクリアーでガッチリ載せる塗装なのですが、
1度目と2度目の塗装の間の時間をそれなりに長く取ったつもりでしたが、こんな結果に
これは塗装表面から溶剤分が抜ける前に硬化が始まり、無理やりガスが抜けて穴を作るホッピングと言う現象です。
気温に対して硬化剤の選び方が間違えた末に起こったトラブルでした
僕のところではクリアーは
2Kエクスプレスプレミアムクリアー
2KVOCエクストラクリアー
2K HSクリアー
の3種類を主に使ってます。
2Kエクスプレスクリアーはミディアムソリッドと呼ばれる少し旧式の環境基準型のクリアーで、古くからある技術の為に、商品がかなり成熟していて、比較的こういったトラブルはありません。また硬化剤も25℃から40℃で使える夏用硬化剤で、かなりオールマイティに使えます
VOCエクストラクリアーは商品性が高く、肉持ち感やツヤ、平滑性は抜群です。
一方でVOC(揮発性有機化合物)の環境基準適応性能が抜群に高い、環境配慮型なのですが、いまいち温度に神経質で、今回のように沸いてしまうのです。
硬化剤の設定も20-25、25-30、30-40とそれぞれの温度で使える限界温度を細かく定めています。
HSクリアーもMSと同じく比較的1つの硬化剤が大きなレンジを守備する感じで、やはりここまで温度に神経質ではありません。
つまり今回やっつけた背景は、温度設定を甘くみたが故に起こったトラブルなのです。
久しぶりにやっつけちゃったなあ。しかしここからがつらかった。このトラブルの起こす結果は甚大で、ぼかす為に塗ったフードにトラブルが発生してしまったので、1枚全部を今度はサフェーサーを塗って研ぐことになります。つまりスタート地点より前まで戻って作業しなければなりません。
そして追い打ちをかけるように超高温がやる気を削ぎます。
結局、リカバーに1週間かかってしまい。作業は超遅れておるのです。
ちなみに余談ですが、スタンドックスのクリアー構成群は下記のようです