中古車が高いけど、中古車情報サイトには安く載るワケ
いろいろな値上がりが叫ばれる昨今、主に材料価格や円安の影響が転嫁されたり、輸送コストの上昇、人件費の高騰まで
自動車業界も例に漏れず大影響を受けています。
そうでなくても、自動車の純正部品は昔から年2回の価格の見直しがあったり、統廃合される部品があったりするのですが
今回はどちらかと言うと外的要因によるものが多いです
特に半導体不足が起因したり、中国のロックダウンだったりでそもそも自動車が作れない
日野自動車のように違う理由で造れない場合もあるようですが…
今や新車を頼むと1年以上待つこともざらになってしまいました。
新車が納車されないと中古車が出回らないので、タマ不足になります。
新車を買う1次ユーザー
新車から数年落ちの良質な中古車を買う2次ユーザー
2次ユーザーの手放したクルマを買う3次ユーザー
と、こういったようにそれぞれの購買層に影響が出ます。
アルファロメオなど趣味性の強いカラーのクルマたちはこの構図に当てはまりませんが
それでも手放されない限り中古車として世に出回りません。
こうしてタマ不足になると必然的に相場全体が上がってしまうのが世の常で、在庫と言うかおカネというか
持っているモン勝ちになります。
在庫を増やすのに一番手っ取り早いのが、残価設定ローンのユーザーを増やす事です。
残価設定ローンは簡単に言えば、3年間なら3年間、ユーザーがおカネを払い続けてメンテナンスして、どこか擦ればユーザーが支払う保険で直し
3年後にクルマを引き上げちゃえば、1次ユーザーが好む優良中古車の出来上がり
しかも3年後の残存価値を計算してしっかりおカネを払ってくれますから、まず損が無い
しかも、乗る距離に応じて、2次ユーザー、3次ユーザー向けにだってできます。その分最初に契約した人が、残存価値の低下分のおカネを払うわけですし
当初の契約と違う内容であれば、違約金をもらえば済むのです。
残価設定ローンは払った金額の割に元本が減らないのも特徴で、乗り続けてもあまり得はありません。
割り切ってさっさと乗り換えた方がお得なわけです。
契約期間が終われば、買い取りか返すか再リースかの何れかを選ぶのですが、先ほど書いた通り払った額の割に元本はなかなか減りませんから、あまり多くの方が買い取りを選ぶ
ことはありません。するとどんな多額の支払いをしようともボルト1つ自分の物にならず、クルマは無くなるのです
一方、販売店はなかなか美味しい事が待っています。
使用後のリースアップ車両は、1次ユーザー向けに販売するのも良いですし、業販しても美味しい。なにしろ同等の中古車をオークションで仕入れるとむちゃくちゃ高額です。
新車からの3年間。少なからずユーザーがおカネを払い続けているので、例えば
1か月に1万円なら36万円。2万円なら72万円が既にその自動車の価値に関わらず減っているのですから
そこで重要になってくるのは、再販売がいかに価値が高く、難なく売れるクルマが良いかにかかってきます。
なので、営業車のリースでもない限り、人気が無いモデル(国産セダンとか)や不人気な色(銀、グレー、紺)などを敬遠させて
できるだけオプションを付けて販売するのです
ですから、残価設定ローン額(リース料)はアルファードやヴェルファイア、ハイエースなどは比較的安価です
と言っても、自動車そのものが高価なので、リース料もそれなりになるとは思いますが。
逆にハイエースにはなかなかシェアが取れない日産系は高くなる傾向があると思ってください。
ではアルファロメオを残価設定ローンしたらどうでしょう?
新車で600-800万するこのクルマの3年後、5年後の残存価格を想像できますか?
おそらく普通に販売ローンを組む方がはるかに安くなるでしょう。
どうでしょう? こうしてきれいなのにオークション相場より安い中古車が作られる仕組みを簡単に説明しました。
今や、ディーラー各社は小売りするよりオークションで業販した方がぜんぜん利益が出るので、そちらに注力していると聞きます。
もっとも空前の円安で輸出業者が信じられない高値で落札するケースも多いのですが
僕らのような零細販売店はさらに利益が圧迫されてしまうのです….