Regeneration Part 3
さて、足回りをリフレッシュ中の155。今回はステアリングのフィーリングの重要性を担保するタイロッド編です。
通常ステアリングラックは、ステアリングギアボックス、ステアリングタイロッド、タイロッドエンドからなる部品群で構成されています
それらはまあ、ギアボックスは想像がつくかと思いますが、ハンドル~ユニバーサルジョイント~ピニオンギアを、ラックギアの上で回して、ステアリングが切れる仕組みです。
そのラックだけだと、自動車の垂直、水平面の動きに耐え切れないので、タイロッドと呼ばれる、ボールジョイントの付いた棒を取り付けて、さらにその棒の先にステアリングが切れるようにボールジョイントのついた、タイロッドエンドがあるのです。
これらのボールジョイントは大変に良い働きをするのですが、時に非常に厳しい環境や使われ方に身を置き、時にはハンドルを据え切りにしたり、時にはデコボコ道を走ったり、大雨の中の完遂したところなど、クルマはお構いなしに走らされ、消費させられるのです。
今回の155は新車から同じユーザーが使い続けたクルマなので、実にはっきりした出自があり、今までの情報が全てあるので、整備工場としても非常にやりやすいです。
しかし、寄る年波には勝てず、ブーツの中にはオイルが入っていました。
本来ブーツ内にはパワーステアリングフルードは無いのですが、シールが弱ったのか、多少のフルードがありました。
未来的には、ラックユニットのリビルドが必要かもしれません。
今は、タイロッドをしっかり締めて漏れが少なくなるのを期待しましょう
タイロッドの取り外しは下にあるような特殊な工具で外します
本来、アルファロメオには、純正でのタイロッドの供給は無く、違う何かのクルマの部品を取り付けるのです
純正がないのですが、タイロッドエンドは純正があります。
タイロッドはe-perに車体番号を入れて検索したら分かりそうなものですが、e-perに書いてある部品と実際に取り付けてある部品は違いました。
アルファロメオには往々にしてある事象なのですが、本来ならこの部品が…と思って部品を注文すると、びっくりすることになります。
タイロッドです。丸いボールジョイントの基部に外す為の工具をかける部分がないのが、純正である証拠です。
それゆえに外すのが大変です。
新しいタイロッドを取り付けました
続いてこのボールジョイントをカバーするブーツ、ステアリングラックブーツを取り付けます
ラックエンドを取り付けて、反対側も同じように作業します
そして最後にトー調整を行います
ちなみに部品は非常に高価で、左のタイロッドエンドは交換されていたので、タイロッドの交換だけで対応いたしました
ナットを緩めておいて、調整に備えます
右側も同じくです。
しばらく走ってハンドルセンターを軽く出します。この時点では完全な真っ直ぐでなくてもOKです。
続いてより正確なトーを調整します。このあたりは走って調整を繰り返します
トーはそれほど難しくありませんが、完全なる正確さを考えたなら、4輪アライメントでトータルトーを調整した方が良いと思います。
スラスト角の解消は非常に重要な事です。
トラムゲージを使って、タイヤを半回転させてばってんの中心同士で前後測ればトーの量が分かります。
ここでタイロッドを回して1回転とか1回転半などと調整していくのです。
これも暑い日で作業しました
こうしてユーザーの元にお返しするときが来ました
美しいブラックビューティーの155。
でも近いうちに車検でまたお目にかかりましょう