シン・カングーの不調を追う

しかしなんだ、どうしておフランスのクルマは変わっているのかしらん?

ドライブシャフトインナーはドライブシャフトと共に回転することなく、ボルトでミッションケースに取り付けられる代わりに
デフのサイドシールの役目を兼ねるという、かなり大胆な発想。ドライブシャフトブーツは一般的にある程度のところで破れる仕組みと言っても良いほど、破れる運命にあります。
アウターブーツは左右上下に引っ張られるためにインナー以上に敗れる確率は高いですが、インナーとて上下には常に動きますし、スラスト方向にも全く動かないわけではありません。

しかしこのカングーの場合、破れてしまっても誰かが教えてくれるわけでもなく、走行しているうちにどんどんミッションオイルを失ってしまいます。
すると、潤滑油を失った機械は最悪、砂利や水が入り、焼き付く可能性が高く、しかしよほど整備意識が高い人でもない限り、なかなかインナーブーツの破れなんて気が付かないと思うのですが…

さて、シャフトブーツが回らない代わりに中にベアリングが仕込んであります
いわゆるローラーバリングとかニードルベアリングと呼ばれるタイプで、インナー、アウターレースをうまく押さないと、ベアリングが壊れてしまうのです

つまりこのベアリング=ブーツをどのように入れるかが、最大の焦点になるのです

まずはこのぱっくり割れてしまったシャフトブーツを外さないと

ちなみにこのカングーもいかなる方法を持ってしてもハブからシャフトが抜けてくれませんでした。

このシャフトが抜けないのはカングーあるあるで、簡単に抜けたためしがありません。
かなり今回も頑張りましたが、結局諦めてこのようなカタチで作業を進めます。

問題なのはいかにして、ベアリングをきれいに沈めるかです

とにかく、ベアリングのどちらかのレースを押してしまうと壊れてしまうかもしれません。
なので、アウター、インナー同時に押せるのが望ましいです

マニュアルでは専用工具を使って押せとの指示があります

イナリくんにおおきなホームセンターに何か探しに行ってきてとお願いして

このような工具が出てきました

これを溶接して

これにて完璧。

そして事なきを得ました

もうどこからも漏ってきません。
もう残すはエアコン。待ってろよお~、とっちめてやる!

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